医療法人 樹徳会 上ヶ原病院 地域と深く開かれた医療機関をめざして
 
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病院めぐり 第5段

今月もまた、病院玄関のロビーからピアノの音が流れています。100才にもなるピアノ。あちこち傷んで、何人かの調律師にあきらめられ、ご臨終寸前だったよぼよぼピアノだったのですが、何度かの小手術、治療とリハビリ(調律と演奏)のおかげで、入院患者さんとご家族、外来やご近所の方々でいっぱいになったロビーにやさしく響き、集まった人たちの心になごみを与えるようになりました。疾病を持っいても、傷だらけでも、よぼよぼであっても、人にやさしさや楽しさを与え続けられる模範として、このピアノは病院の玄関に鎮座しています。  マスクと目深にかぶった帽子は化学療法中の人。昨年、リンパ腫だった娘さんをここで看取ったというお母さん、車いすにゆがんで座って眠っているのか、音楽にうっとりしているのか療養病床の患者さん。この日に外来を合わせてきたというリウマチのおばさん。隣の老健施設「陽喜な家」デイケアの常連さん、いろいろな聴衆の方達が心に染みいる音楽でほっと元気に、時に涙を流し、最後のみんなで歌いましょうでは普段声のでない方までもがウーウーと歌ってくれます。  今回の病院めぐりはもう5回目になります。そこで今までと違って、最近、先生方からご紹介のあった患者さんの何人かをご紹介することにいたしましょう。  30歳代男性、発熱、白血球54000、血小板7万、白血病疑われご紹介いただく。あ土曜日、骨髄検査はできても、マーカーなどできない...セミクリーンルームに入院。ステロイドと抗生剤のみで待つ。月曜日骨髄検査後直ちに化学療法開始、寛解を得た急性リンパ性白血病。地固め療法にはいるところ。40歳代女性。10年以上も抗甲状腺剤を服用中であった。突然の高熱。白血球700。無菌室にとご紹介頂く。薬剤性好中球減少症疑い。G−CSF投与にて回復を待つ。80歳代女性、発熱と著明な口腔内出血。白血球3600、血小板4000、白血病疑われご紹介頂く。特発性血小板減少性紫斑病。骨髄穿刺のあともじわじわ出血。血小板は「0」がつづく、認知症も相当なもの。採血もままならない。ベッドよりずり落ち、点滴は引っこ抜く。口腔内どころか体中出血班で真っ赤っか、カテーテルからの血尿はまさに凝血壊。(じっとしていてちょうだい!)頭蓋内出血する前にやっと血小板5万になった・・・ほっとする。認知症もなぜか軽快!? 90歳代男性、だんだん食事摂取が低下している。誤嚥もあるので点滴をとご紹介頂く。だんだん食べられないのも老衰かな?とりあえず点滴開始するが、延命治療についてご家族と相談。胃婁については協議中。輸液も胃婁も延命治療のうちなのか・・・? と思いきや、某病院より寝たきりの80歳代女性胃婁増設目的にてご紹介頂く。状況観察、胃婁増設、経過観察、約2週間の入院となる。50歳代男性。放射線治療後の肺癌脊椎転移。下半身麻痺にリハビリ希望される。末期と了解なりに相談しながら化学療法、疼痛管理、最期まで穏やかに過ごされた。20歳代男性、胃癌、癌性腹膜炎でイレウス多発、腹水。肝転移。胃婁は廃液用、栄養は中心静脈ポートから。入院しながらも専門学校の試験勉強中。卒業するのは来年の3月なそうだ。  上ヶ原病院は私立病院としては特異な無菌室をもち、血液疾患を得意とします。しかし、近隣の先生方が気軽に使って頂けるベッドとして内科一般、感染症から、糖尿病の調整入院、癌、神経疾患。在宅に帰る前のもう一息のリハビリテーション。時にはご家族がまたは往診されている先生が疲れきらない前のレスパイト入院もあり。上下部内視鏡検査。CTのみのご依頼もあり。診療所との連携をまた他の病院や大学病院との連携も大切にしています。  上ヶ原病院は現兵庫医大の前身であった新武庫川病院の閉院に代わってその歴史を引き継ぎ1979年に老人病院として再スタートした長い歴史を誇ります。一方、ここ上ヶ原には1940年より病院が受け継がれ続け、西宮市でも優良の療養環境を保つ土地柄かと思われます。たくさんの病院の歴史を背負っった上ヶ原病院ですが、昨年の医療制度改定により、不本意ながら療養病床を減少させました。高齢者を含めて緊急入院への対応のためと、療養病床入院患者さんを色分けしなければならない苦悩のためです。これまでに比べてゆっくり入院して頂くスペースが少なくなりました。一般病床92、療養病床24となりました。それだけにスタッフの労働も増加しましたが、この医療危機の時代ですが、上ヶ原病院の二本柱である血液内科と高齢者医療を両輪として展開していきます。底に流れる気持ちは変わらず、すみずみまでに温かい血の通った医療で訪れる人に安心と喜びを持って帰って頂くことをめざしています。 よぼよぼピアノにまけないように・・・

西宮市医師会会報「談話室」より

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