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血液疾患の治療について
T血液の病気

1 血球の産生と病気

 全身の血管を流れる血液は液体成分(血漿)と血球成分から構成されています。液体成分は血漿と名付けられ、全身の臓器の状況・変化を写して、刻々と変化しながら流れています。例えば、肝臓の細胞に多く含まれている酵素の中のASTおよびALTと言う成分は肝臓の細胞が死に、崩壊すると血液の中に流れ込み、血液検査するとASTあるいはALTが異常に高くなります。この状態を肝炎と呼んでいます。このように、血液検査成績に異常があってもこれを血液の病気とは言いません。
  血液の病気とは、赤血球・白血球・血小板と名付けられた血球成分の異常な増加・減少あるいは異常な性質の血球が作られる状態を血液の病気と呼んでいます。さらに、血液が寒天状に固まる状態を凝固と呼んでいますが凝固の異常も血液の病気に含まれています。 血球数の増加・減少だけでなく、異常な性質を持つ血球が現れることがあります。この3種の血球はいずれも「血液幹細胞」と名付けられた細胞から骨髄の中で分化・増殖しながら出来てきます。これらの変化は骨髄の中で起こっているので、骨髄検査が必要になることもしばしばあります。小児では、全ての骨髄で血球を作っていますが成人になると体の中心近くの骨:頭骨・脊椎骨・鎖骨・肋骨・胸骨・腸骨等でしか血球を作らなくなります。
  さらに高齢になると腸骨も脂肪細胞で占められるようになります。そのために、骨髄検
図1 血液幹細胞と血球の関係
検査は、胸骨あるいは腸骨に針を刺し、注射器で骨髄の一部を吸引・採取して、検査の材料
とします。

図1 血液幹細胞と血球の関係

図1の説明:血液幹細胞から、赤血球、白血球、血小板の3系統の血球ができて来ます。白血球には、顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)、単球、リンパ球(Tリンパ球、Bリンパ球があります。

一方、白血球の構成成分の一部はリンパ球です。血液幹細胞の一部は骨髄からリンパ節に行き、そこで分化・増殖して、リンパ球になります。そのために、リンパ球の異常あるいはリンパ節が腫れてきた場合には、一部のリンパ節を取り、染色して、顕微鏡でその変化を観察する検査(リンパ節生検)が必要になることも少なくありません。
表1 血球の基準値
項目 基準値 単位
赤血球数 (RBC) 女性  400 〜 450 x104/μl
  男性  450 〜 500 x104/μl
血色素 女性 12.0 〜 16.0 g/dl
  男性 13.0 〜 18.0 g/dl
赤血球容積 (Ht) 女性  32 〜 46 %
  男性  40 〜 54 %
平均赤血球容積(MCV) 85〜99 fl
白血球数 (WBC) 4000〜8000 /μl
血小板数 (PLT) 12〜28 x104/μl
網赤血球数 (Ret) 0.5〜2.5 %

図2 赤色部分は成人でも造血している骨

図2 赤色部分は成人でも造血している骨

2 血液病に関連する検査には血液検査以外にどんな検査がありますか

(T)骨髄検査

(1)骨髄穿刺

1 目的:第一の目的は、赤血球・白血球・血小板の造血状態を調べるため, 第2に骨髄中に腫瘍細胞の有無を確認するために行います。血球減少が血液で起こっている場合、血球減少の原因が造血が悪くて起こっているのか、それとも血液が過剰に壊れて血球減少が起こっているのかを見分けるために行われます。
2 穿刺部位:成人の場合には胸骨あるいは腸骨(上後腸骨棘)を穿刺します。
腸骨穿刺:腸骨の場合には安全性は高いが末梢血の流入の割合が高く、皮下脂肪が厚い場合には穿刺困難な場合もあります。特に、高齢者の場合には腸骨とはいえ、脂肪髄化していることが多く、穿刺には適していません。ただし、骨髄細胞が採取できない場合には(dry tapといいます。通常この「dry tap」とは水道栓をひねっても水が出ない状態を指しています。)は骨髄生検をすぐに行える点が有利です。
胸骨穿刺:胸骨穿刺は皮下脂肪が薄く、胸骨の形状が平板であり手技的には腸骨より簡単です。また、加令による脂肪髄化が少ない点も有利です。但し、不注意に穿刺すると胸骨を貫通する危険性があります。第2に穿刺で骨時細胞が採取できなかった場合(dry tap)に、引き続いて骨髄生検をその部位で行うことはできません。
3 患者さんへの説明
所要時間:消毒から骨髄採取までは10分間程度で終了します。 麻酔と消毒:充分、局所麻酔を行い、皮膚の消毒を行います。
穿刺と痛み:局所麻酔により穿刺に伴う痛みはほとんどありません。しかし、骨髄液を10 ml の注射筒で吸引する際には引っ張られるような強い痛みを生じます。これは骨の中の痛みであり、局所麻酔では防ぐことはできませんが痛みは一瞬のことが多いようですが数秒間続くこともあります。
安静:穿刺後は約30分間、安静を保っていただき、出血が止まって(止血)いることを確認して、検査を終了します。
  最近では、骨髄穿刺で得た骨髄液を用いて、染色体検査・フローサイトメトリー(細胞の表面にある蛋白質、糖などを検査する)の検査を行うこともしばしばあります。

(2)骨髄生検

通常は、骨髄穿刺で骨髄液が採取ができない場合(dry tap)に、腸骨を生検します。部位は骨髄穿刺と同じですが穿刺する針は内筒もあるのでやや太くなります。充分、局所麻酔して生検針を刺し、骨の表面に針が到達してから内筒の針を抜きます。そこに、鋸状の歯をもつ別の内筒針をいれ、さらに、約1〜1.5 cm 程、回転させながら針を奥に進めていき、そこで左右に少し振って、針を抜きます。そして針の中に採取された骨髄組織を押し出します。
 その他の処置は骨髄穿刺と差はありません。

(3)リンパ節生検

 リンパ節が腫れて、診察の結果、悪性リンパ腫の疑いがある場合には、外科的にリンパ節を取り、その組織を顕微鏡で観察する、いわゆる、病理検査を行い、時には、リンパ節を構成する細胞の表面の蛋白質あるいは糖を調べて、どのような細胞から構成されているのか調べます。叉、その細胞の一部を使って、遺伝子に異常があるか、ないか、を調べます。
 
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