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(T) 貧血 |
1 鉄欠乏性貧血 |
(1) どんな症状があらわれますか |
| しんどい、つかれ易い、動くと動悸・息切れ、頭痛、立ちくらみなどの症状が多い。また、他の人から顔色が悪いと言われることが多い。 |
(2) どうしてこのような貧血になるのでしょうか〜原因 |
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通常、人では消化管上皮、皮膚上皮の脱落により1mg/日の鉄が失われ、同量の鉄が食事から吸収され、その収支が保たれています。何かの原因で、吸収する以上の鉄が失われると鉄欠乏の状態になります。血液100 ml中には約50mgの鉄が含まれていますので、毎月の生理出血がある女性は鉄欠乏の状態になり易い状況です。女性の場合には、消化管の状況によって、鉄吸収量が減少するとたちまち鉄欠乏の状態となります。鉄欠乏性貧血の多くは女性と言うことになります。
胃に胃酸が在ると鉄の吸収はよくなります。逆に、何かの原因で無酸症あるいは胃の手術を受けて胃酸分泌が低下あるいは無くなりますと鉄欠乏性貧血が発生し易くなります。 |
(3) どんな検査をするのでしょうか |
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血液検査によって血色素量(ヘモグロビン)12 g/dl以下の貧血を認め、平均赤血球容積(MCV)が85fl値以下の小球性貧血があり、血清鉄が55 μg/dl以下、フェリチン(貯蔵鉄の1つの形)5μg/dl以下の結果になります。赤血球には多くの鉄が含まれていますので出血があると鉄欠乏性貧血と似た状態になります。そこで、日常生活の中では見つけにくい便への出血の有無が問題になります。便の潜血反応(胃および十二腸からの出血をベンチジン反応・グアヤック反応:便中の鉄分を測定している。)、大腸からの出血は便中の血色素の有無を検査しています。その検査結果によって、胃・十二指腸から出血している場合ば胃カメラあるいは、大腸から出血している場合は大腸ファイバー検査の必要があります。女性の場合には婦人科の診察を要することもあります。 |
(4) どんな薬を使って治療するのでしょうか |
鉄剤(1日1回)の内服:昔は鉄剤に含まれる鉄分が少なく、お茶を飲まないように患者さんを指導していましたが最近の鉄剤に充分の鉄が含まれているので、お茶を飲んでも鉄分は充分吸収されます。但し、生理出血の多い女性では生理による出血のために失う鉄分も多く、女性では長期にわたる鉄剤の内服が必要な方も少なくありません。
鉄剤の注射:内服用の鉄剤で不快な消化器症状(上腹部痛、胃部不快感、腹部の膨満感、下痢または便秘)の起こる人はやむを得ず注射用鉄剤を静脈注射します。しかし、血液中の鉄分が多い患者さんに注射しますと副作用を起こす患者さんもあります。
注射用鉄剤(フェジンなど)+生理食塩水(20 ml):静注
注射用鉄剤(フェジンなど)+生理食塩水200 ml:点滴静注
(生理食塩水は注射用鉄剤をゆっくりと注射するために、全体の量を増やすために生理食塩水などを足して、希釈することが多い。) |
(5) 鉄欠乏性貧血に似た他の病気はありませんか |
1 出血:血液100 ml中には50 mgの鉄が含まれています。このように赤血球には大量の鉄が含まれているために、胃・小腸・大腸からの出血(胃潰瘍・十二指腸潰瘍・痔・胃がん・大腸がん・潰瘍性大腸炎など)があるとたちまちにして鉄欠乏状態になります。特に、胃・小腸・大腸からの出血は日常生活の中で見逃されがちであり、鉄欠乏性貧血を見た場合には必ずこれらの消化管からの出血を考え、検査は行う必要があります。
2 慢性の炎症:関節リューマチ等の膠原病、結核などの慢性の炎症があると炎症により、肝臓のヘプシジンの産生が高まり、鉄吸収の低下、貪食細胞による鉄の取り込みにより、血液中では鉄欠乏と同じような貧血を示します。
3 各種のがん:がんがあるとヘプシジンの産生が増加して、鉄欠乏と同じ状態になります |
(6) その他 |
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肝機能障害、腎機能障害なども同じような貧血を起こすことがあります。 |
2 悪性貧血〜実際には悪性ではありません、ビタミンB12欠乏性貧血です |
(1) どんな症状があるのでしょうか |
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しんどい、つかれ易い・動くと動悸・息切れがする・頭痛・立ちくらみなどの症状が多い。他の人から顔色が悪いと言われることが多い。悪性貧血はかっては貧血の以外の神経麻痺、脊髄神経の障害などを伴い治療も困難でした。そのために、悪性貧血と名づけられました。しかし、悪性貧血の原因であるビタミンB12 が発見され、容易に,予防・治療できるようになったので悪性貧血という名称は現在では適切な病名ではないと言われています。 |
(2) どうしてこのような病気になったのでしょうか |
| 直接の原因はわかっていませんがビタミンB12を小腸から吸収するのに必要な内因子に対する抗体(細菌・ウイルス等が体内に侵入した際にこれらの微生物を除去する機能を持った蛋白質)ができて、内因子を破壊します。結果として、胃粘膜からの内因子の分泌が無くなり、小腸からのビタミンB12の吸収がなく、悪性貧血となります。必要なビタミンB12葉細胞分裂に必要なビタミンであり、その欠乏により、細胞分裂は遅れ、それに比べて血色素(ヘモグロビン)の合成は普通に進む結果、一つ一つの赤血球が大きい大球性貧血になります。 |
図1 ビタミンB12 と細胞分裂
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(3) どんな検査をするのでしょうか |
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血液検査で血色素量12g/dl以下の貧血があり、その貧血が大球性貧血(平均赤血球容積100fl以上、多くは120 fl以上あります。正常なひとでは、血中ビタミンB12の濃度は200〜900pg/mlであります。悪性貧血になりますと血中のビタミンB12は200 pg/ dl以下となります。骨髄検査では巨赤芽球という異常な形をした大きな赤芽球を認めます。この貧血の患者さんのおおくは、胃飲無酸症となります。 胃カメラで慢性胃炎を認めることが多く、時に胃がんを認めることもありますので、胃カメラ検査は欠かせません。 |
(4) どのような薬を使って治療するのでしょうか |
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ビタミンB12を非経口(注射剤として)、経口(錠剤)の使用します。最近のビタミン剤には大量のビタミンB12が含まれているので内因子が無くても充分吸収されます。 |
(5) 類似の他の病気 |
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胃摘出後の貧血:胃の病気により胃を切除した場合には胃壁からの内因子の分泌がない状態であり、胃切除後数年たつと悪性貧血と同じような大球性貧血が発生することが知られています。この場合には、鉄の吸収に必要な胃酸の分泌も低下するために鉄欠乏も合併することがあります。 |
(6) その他 |
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大球性貧血の原因には葉酸欠乏性貧血さらには骨髄異形成症候群等があり、鑑別診断のためには骨髄検査が必要です。 |