2012.01.01

「絆で始まる龍年」兵庫県民間病院協会会報2012年1月号

天にも昇る龍を夢見て、新年が幕開けました。
龍は干支の中で唯一実在しない動物であり、どんな動物かはそれぞれの人の想像にまかされています。足があるのか、何本か、無いのか…空も飛ぶし海も泳ぐ、 その早さは何者にも負けない。は虫類か、両生類か、魚類か、恒温動物か、何にも分類されないことが龍の不思議。誰も想定できない動物なのです。
 さて、地震も津波も誰も想定できませんでした。否、歴史の中では、また科学的には充分想定されていたようでしたが、その想定を否定したのが人間でした。 歴史にも科学にも抵抗できたのが人の心でした。そこに住みたい、住み続けたい、という心が科学的な歴史的な想定を超えた人の心の繋がりが生れたのも事実で した。「絆」と言う一文字は見返りを期待しない、人と人との繋がり。縁もゆかりも無い人々の間に縁ができていきます。
 患者と医師もはじめは縁もゆかりも無いのがほとんどですが、主治医となり、常連の患者さんとなり、絆が生れる。違う病院へ紹介してさえもまた報告に帰っ てこられる。科学的に想定される以上に、絆の築かれた患者さんとの信頼関係は結果を生む事さえあります。職員も初めての面接から絆により病院には無くては ならない人材となっています。
 龍の鱗が一枚とれても想像上の龍はまたすぐに新しい鱗をつくるのでしょうか。いえ私の龍の鱗は一枚も落としてはいけません。一枚の脱落が隣の一枚を剥が していきそうです。職員同士の絆を深め、病院間の絆を深め、一つ一つの病院がしっかり自分の鱗を支え合って力強い龍となって天に昇っている。そんな夢を描 いています。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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