2011.01.15

年頭所感「伊達直人さま」

年頭所感 「伊達直人さま」

溢れる情報に踊らされない  養護施設に届けられたランドセルや文房具。一昨年のクリスマスに現れた伊達直人様(漫画タイガーマスクの主人公だそうです)の好意をまねて昨年末もそし て新年になってもまたこの匿名のプレゼントが流行しています。政治不安定、異常気象、不景気、就職難、など暗いニュースが続く中、匿名のプレゼントの送り 主は一人では無く、次々となされた善行の連鎖。こんなことをやってくれる日本人が、そしてその好意が日本中に広がっているのだと思うと心が温かくなる新年 です。
 マスコミの報道で日本中にタイガーマスク運動が広まったのです。マスコミもこういうニュースこそ必要なんだって気づいてくれたでしょうか。無差別通り 魔、練炭自殺の方法、振込詐欺の手口など、マスコミの報道により、犯罪の連鎖が起こっていた事に気づいているのでしょうか。医療への不振や、医療訴訟など も、新聞やテレビの報道によって連鎖的に新たな不信感と緊張を、そして医療崩壊へと繋がっていたと反省していただかなければなりません。
 新年を迎えて、日本の医療の抱える問題が少しはいい方向へいくのでしょうか、政治が、システムがマスコミが悪いと言っているだけでは何も動きません。いい方向へ向かわせる努力をしなければならないと思います。
 我々も含めてマスコミの報道に惑わされるのが一般の人々の傾向です。とするなら、マスコミの方々はその影響がどれほど大きい物かを自覚して、正しい事実 を知っていただき、正しい報道をしていただかねばなりません。医療費が上がる理由を、医療費が決まっていくいきさつを、医療がどれほど大切か、そして、医 療機関にどれだけ費用がかかるのか、どれだけたくさんの人々がしかも長時間にわたって働いているのか。現行のシステムの中で正しい医療をしていれば努力が 報いられる、しかも、伊達直人さまの様に余裕をもって医療を提供できる。そんな医療社会にしていかなければならないのです。
 「タイガーマスク運動」の流行はインフルエンザほどに強く広く流行ってほしいものです。

兵庫県民間病院協会会報 2011年1月号

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