2005.05.01

病院めぐり 4 西宮市医師会会報「談話室」 2005年5月号

病院めぐり 第4段

  西宮市南部地域の一番北端にあります。北の果てかつ少々標高も高いようで今年の桜も長持ちしました。病院としての環境は抜群。50年以上もここで病院が 営まれた歴史に納得です。環境が良好すなわち立地条件がいいとばかりは言えないのが悩みです。上ヶ原病院の泣き所は交通の便の悪さなのです。最寄りの駅と いわれても・・・・・バス停から遠くはないのですが病院はみえず、また「患者返しの坂」と我々が名付けた短いですが急な坂が一方にあり。この坂を歩いて 上ってこれる方は病院要らず。上がれない方はもう一方の畑のあぜ道を通って来ていただきます。そんな病院ですから駐車場完備。そしてせっかく苦労してきて くださった方には満足していただける医療に努めています。

 上ヶ原病院の内容、特長についてはこれまで3回にわたる「病院めぐり」でご紹介していますので、今回はホットニュースとして、今年新規の着任医師のご紹 介をしたいと思います。

 4月から名誉院長として兵庫医科大学血液腫瘍科前教授の原宏先生を迎えました。兵庫医大在籍時より西宮市医師会には臨床検査事業部の顧問として参加させ ていただいておりご存じの方が多いとは思いますが、上ヶ原病院の原宏としては初デビューです。昭和38年大阪大学医学部卒業は竹政会長と同級生と聞いてい ます。昭和47年兵庫医科大学の創立当時より当時の第2内科(故永井清保教授)に新進気鋭の講師として赴任され、新しい教室、新しい大学、そして造血幹細 胞のコロニー作りに燃えておられました。2年間のサウスカロライナ大学での研究生活を終え兵庫医科大学に戻られたのは昭和52年7月。そろそろ国家試験対 策モードに入ろうとしていた私達一期生は初めて聴く原先生の幹細胞の講義に新鮮さを覚えました。今では珍しくありませんが日本で先駆けの大学輸血部講座を 立ち上げ、主催され(そのころ私が弟子入りしたのであります)また新しくできた先端医学研究所細胞移植部門教授、また大学の組織改革にともない、総合内科 学、血液腫瘍内科学の教授として教室員だけでなく、大学を引っ張ってこられました。数々の学会活動はここでは省きますが、社会的には兵庫医科大学の中から できた臍帯血バンクから発展させて、近畿臍帯血バンクをうみだされるなど、原宏先生は新しい部門、新しいものの創始者としての活躍が目立ちます。

 そんな原先生を上ヶ原病院に迎えることとなり、ますます充実した血液内科を展開することが出来ることと確信しています。5月からはまたもう一名の血液内 科医が増える予定であり、内科を主体に展開している上ヶ原病院がますます上ヶ原病院らしく(?)なっていくことをご期待下さい。先生方のご紹介のおかげ で、現在、急性白血病18例(昨年新規15例)骨髄異形成症候群27(9)慢性白血病13(6)リンパ腫31(7)骨髄腫21,その他の骨髄増殖性疾患 15、再生不良性貧血7、ほか などですが、原先生の加入によってこれまでよりさらに自信をもってご紹介をお受けさせていただくことが出来ると考えていま す。末梢血幹細胞移植も含めて、血液腫瘍ならずとも抗癌剤の有効な腫瘍性疾患の化学療法にとりくみます。

 冒頭から病院の利便性ではなく不便性を書いてしまいましたが、これも禍するのか上ヶ原病院の属する上ヶ原南地区には診療所が多くありません(桝谷医院と 玉置医院)。そのため、最近の病院では外来を減らすのがドレンドであるにもかかわらず外来機能も必要とされているようです。そのため日本医師会が国民病と して勉強せよとされた糖尿病については副院長末廣美津子が率先して地域の人々のために糖尿病教室を主催するだけでなく、医師を含むスタッフのレベルアップ 教育にも力を入れています。上下部消化器疾患の診断は「被検者にやさしい内視鏡検査」を中里勝がひきうけます。

 また利便性より環境の良さというならば、療養病棟、老人保健施設にはもってこい。こちらは施設長波多野誠を中心に丁寧な医療、介護とリハビリテーション を提供しています。リハビリテーション部門は急性期はもちろん、慢性期であっても根気よく患者様の意欲を引き出させるよう訓練をつづけ、成果をあげています。言語療法も昨年から新たにスタッフを迎え、これまでの理学療法、作業療法とともにさらに充実しています。

 先生方の患者様用のベッドとしてこれまで同様お気軽にお使い下さい。上ヶ原病院ではアルバイト医師による夜間当直はほとんどありません。緊急のベッドの ご相談も内部のわかった常勤医師が対応させていただきます。一時当直に月約10回参加し、地域になくてはならない病院として根付いていたいと思っていま す。

医療番外編
上ヶ原病院のロビーには100年を経た古いグランドピアノがあります。この「よぼよぼピアノ」は捨てられる運命にあったところ、名調律師さんのおかげでな んとか蘇り、ff でなければ皆に美しい音楽を楽しませることができるまでに回復しました。ピアノのリハビリのため月に一度のコンサートをしています。そして皆に拍手喝采を 戴くことによってさらにきれいな音が出るようになっていくのです。
患者様でもどこか患ったところがあっても障害があってもリハビリをしながら充分活躍できるのです。との願いを込め、これからも「よぼよぼピアノ」のコンサート毎月続けていこうと思っています。
一度のぞきにきてください。

西宮市医師会会報「談話室」より

 

ページ先頭へ