2015.01.27

「新年を迎えて」 病院めぐり 西宮市医師会会報「談話室」2015年1月号

 

あけましておめでとうございます。みなさま穏やかな新年を迎えられましたでしょうか?

 年末にがたがたと総選挙が行われ、慌ただしい中にまた新しい内閣が発足いたしました。福祉予算に当てられるはずの消費税が充分に活用されるかは今後の課題ですが、拡大するのが当然の医療費をいかに分配するか、介護保険への付け替えが適格か、消費税の使われ方にも目が離せません。世界一高齢化が進行する日本で、これからの世界の模範となるような実行可能な対高齢化施策を期待したい所です。

 今年は阪神淡路大震災から20周年を迎えます。西宮市も甚大な被害を受け、水もなく電気もなく寒い所での救助活動、怪我や御遺体の様子が今でもまぶたにはっきり思い浮かびます。あちこちに避難所が開設され、多くの先生がたが率先して救護所に出向かれたり、自院被災の中でも、少ない資源を持ち出しての被災者医療に自らを顧みる余裕なく献身されました。医師としての社会的責任、社会奉仕の心意気を、そして必要とされる喜びが実感されたものです。自院近辺の避難所ではまさに地域の繋がりが、地域医療の舞台が用意されていたと思いました。避難所を家とする在宅医療の原点ではなかったでしょうか。

 高齢者の急増と医療費の抑制の為に在宅医療を推進し在宅医療、介護に関する予算措置が行われています。システム化した、ネットで結ばれたディジタルな在宅医療を押し進める一方、患者さんと心の通うアナログを消してはなりません。医師だけでなく、歯科医師、薬剤師、訪問看護、リハビリテーション、ケアマネージャと在宅医療では他職種との連携が大変重要になっています。医師だけで医療をやっているつもりは毛頭ありませんが、他職種の中で医師はリーダーとして要にならなければなりません。患者さんとだけでなく在宅チームの他の職種の方々との理念の繋がりも持ちたいものです。

 また今年はむこねっとの本格活用が始まります。医療機関どうしの敷居を低く、データのディジタル双方向の閲覧ができるよう、患者さんにとっても先生がたにとっても有効活用方はいろいろです。将来的には介護ネットワークへの拡大も検討されています。多くの患者さんがネットで医療機関を選んでいるといわれます。むこネットが市民にも認識されれば、自医療機関の広報にもなります。まだまだ参加医療機関が少ない状況ではありますが、将来性を買って多くの先生がたの登録をお願いしたいと思います。

 震災20周年を迎えて、今もう一度医師という職業の原点に立ち返り、専門職としての責任を自覚し、職能団体としての医師会の結束と協力を考えていきたいと思います。会員皆様一人一人からなる医師会です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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