2010.06.26

医師会と市政 西宮市医師会会報「談話室」2010年6月号

医師会と市政

  今年度もまた新たな二年の任期をいただきました。医師会役員の毎年の大きな仕事の一つに、市への予算要望があります。救急医療について、健診について、 周産期医療、乳幼児、学校保健について、福祉医療、介護保険にかかわることなど、医師会の仕事は西宮市とこんなにも深く関わり合っているかと思うばかりで す。毎年10月には予算要望書を作成し、翌年の市の予算にできるだけ多く食い込むことを目指します。医師会組織はもちろん民間団体ですが、これだけ多くの 市の事業を肩代わりしており、市民の健康と安全を守る大きな役割を担っています。言葉を換えれば市の健康行政は医師会なくしてはあり得ないと言っていいの かもしれません。応急診療所への出務、一次二次救急の当番、学校医だけでなく、学校検診の応援、予防接種、特定健診、がん検診など、多くの会員の皆様に協 力いただいています。またこれらの健康行政の基本計画への提案も私たち医師から発信されることがしばしばです。このような直接的な医療業務以外でも、市民 に対する啓発、健康講話や健康フェアでの医療相談、市民マラソンや、小中学校の体育行事の時の待機医師業務また介護認定審査会等でも・・こうやって数え上 げるときりがないほどです。このそれぞれすべてに市との交渉をする訳ではありませんが、真に市民のためになる、会員が出務可能である、会員の利益にもなる そういった事業を提案し受託することです
 西宮市は2008年から中核都市となり、県から独立した権限の範囲が増えました。昨年のインフルエンザでもそうだったように、市の保健所が密に迅速に地 域の保健行政を行えることから、医師会との関わりも密になっているようです。身障者手帳の公布や、社会福祉施設の許認可も市の権限の範囲となってさらに会 員の皆さんの仕事を増やす事も多いか思われます。先月からは新しい市長が誕生し、福祉の心を政策の柱の一つに掲げられました。医師会は市政にアイデアとノ ウハウを提供し、その実践をリードするべき専門家集団として時には押し、時には引いて、これからも共栄発展していかねばなりません。会員みなさんからのご 要望、アイデアなどお待ちしています。医師会は、自らの利益のためにだけ行動する医師集団ではなく、公共の利益をもたらすための社会貢献をしていること。 それが非会員との違いである。と感じています。
 この原稿を仕上げている時に、民主党党首辞任のニュースが流れてきました。日本医師会、県医師会と私たち市医師会もですが、国家の医療政策の朝令暮改に 右往左往させられ続けています。先の見えない医療界(だけでなく日本中ですが)において、医師の目標はあくまでも患者の治療、疾病との戦い、健康の維持増 進です。それらを実行するための経済的、時間的、肉体的保証が安定して得られる事を望むものです。

西宮市医師会会報 「談話室」 平成22年6月号巻頭文より

 

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