2000.05.01

「太ってどこが悪いの?」宮っ子「与喜子の健康講座」2000年5月号掲載

太ってどこが悪いの?

 そろそろ温かく半袖の季節になると、二の腕のあたりの贅肉が気になり、店頭に水着が並び出すと今年も夏までにはもうちょっと痩せておきましょうかと重い体を始動するのは年中行事でしょうか?
「肥満」とは、中性脂肪が過剰に身体に貯まった状態であり、自分が太っているのか丁度いいのかは誰が判断するのでもなく、客観的に、しかも国際的にも通用 する「BMI」という指標が使われています。これは、体重(kg)を身長(m)で2回割った数字で22kg/?に相当する体重を標準体重とし、それより 20%以上超過したBMI(26.4kg/?)を肥満と判定することが一般的です。
 この22という数字は、かっこよく見えるとか水着が一番売れているとかではなく、健康管理上重要な意味があるのです。肥満に伴う合併症、つまり高血圧・ 狭心症や心筋梗塞・糖尿病・脳血管疾患などへのかかりやすさ、また死亡率が統計上最も低くなるBMIが22なのです。18.5から25が正常、25から 30で軽度、30から35で中等度、35から40を高度、40以上は超肥満と判定されます。
 軽度ないし中等度肥満でも合併症を伴っていれば治療が必要です。前記した高血圧、心臓病、糖尿病など一般的な動脈硬化にかかわる病気が高頻度に発症し、これらの病気は次に突然死、でなければ痴呆症にもつながる可能性があります。
 次に肥満の人に起こりやすい病気としては脂肪肝、胆石症、痛風、膝関節症などがあります。これらは身体の部分に余分な代謝産物が貯まることが原因です。 また、さらに肥満の人は免疫細胞が弱っていて細菌感染や癌にかかりやすい事もわかっています。睡眠時無呼吸症候群が肥満者の突然死の原因となることもあり ます。その他、甲状腺や副腎ホルモンの異常、遺伝、染色体の異常など特殊なタイプの肥満は検査である程度判断でき、治療できるものもあります。
 摂取カロリーと消費カロリーに遺伝素因が絡んでくる肥満ですが、こんなにいろんな病気の原因となるかも知れないと思えば、かっこよさを追求する以上に、健康を保つためにこそ体重のコントロールに取り組みたくなりませんか?

「宮っ子」「与喜子の健康講座」より

 

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