2000.06.26

「脳の血管がつまる!」宮っ子「与喜子の健康講座」2000年6月号掲載

脳の血管がつまる!

 前首相、小渕氏が突然退かれたニュースは衝撃的に日本中を駆け巡りました。脳卒中は日本国民の三大死因の一つで、今回のように元気と思っていた方にも突然起こることのある悲しい病気です。
 脳卒中と一言でいっても大きく分けると脳内の血管がつまる場合(脳梗塞)と血管が破れる場合(脳出血)があり、ときに小渕氏のようにその両方が合併する こともまれではありません。また脳内ではなく脳の外側の血管が破れたときには脳が全体的に圧迫され、これもしばしば致命的です(くも膜下出血)。
 脳に栄養を運ぶ血管がつまるとその先の細胞が働けなくなります。脳内の、足の運動を司る部分を養っている血管がつまれば足が動かなくなり、手に関わる部 分なら手がマヒします。範囲が広ければその両方もあります。脳の支配はたいてい右と左できれいに分かれているため、右半分または左半分で手も足も動かなく なることがよくあります。顔の筋肉運動がマヒすると表情がつくれない、よだれがこぼれる、しゃべりにくいといった症状で発症することもあります。小さい範 囲でもあちこちつまると痴呆症の原因にもなるのです。
 ふつう血液は血管の中では固まらないようにできているはずなのですが、血管が動脈硬化で分厚くなったり弾力性が低下すると、血液の流れがスムーズでなく なりよどみができます。こうした場合、何の症状も出ないまま少しずつ脳の血管が狭くなっていき、ある日突然つまってしまう(脳血栓)、ということになりか ねません。また、心臓の血液を送り出すリズムが不規則だったり心臓の弁に異常があるときには、心臓の中で血液の流れがよどんで固まりができていることがあ ります。心臓の中は広いのでなかなかつまることはありませんが、その固まりが血液の流れにのって脳に流れていったとき、血管が細くなったところで突然つ まってしまいます(脳塞栓)。
 血管に過剰なストレスをかけないこと、血圧を低く保ち、脂肪をためないこと、糖尿病も大敵です。また、心臓に原因がある方は血液を固まりにくくするよう投薬が必要な場合もあります。
 激務の真っ最中に日本国民全員に身をもって警鐘を発せられた前首相に心からお見舞い申し上げます。?

「宮っ子」「与喜子の健康講座」より

 

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