2000.08.01

「夏のお腹にご用心」宮っ子「与喜子の健康講座」2000年7・8月合併号掲載

夏のお腹にご用心

冷たいものがおいしい季節です。のど越しよくついたくさん食べ過ぎた、飲み過ぎたってお腹こわして苦しんでいませんか?
何年か前、日本中の給食設備を震撼させた急性出血性大腸炎O-157は病原体(細菌やウィルスなど)が侵入して起こる感染性の下痢。サルモネラ、 O-157に代表される食中毒はもちろん、腸チフス、赤痢、コレラのように重症になるものから、寄生虫、インフルエンザや夏風邪のウィルスも感染性下痢の 原因です。
 このような病原体とは関係なくお腹をこわすのは非感染性の下痢。冒頭に挙げた暴飲暴食、お腹の冷えや過労、アレルギー、その他受験や心配事などのストレ スでさえ十分下痢の原因となります。夏祭りのカレーに砒素ならずとも食物以外の重金属や薬物が入っていたら、非感染性の食中毒が発生します。
 なんといってもこの季節、高温多湿の環境では食物についた細菌の増殖が盛んとなり、汚染された食べ物が細菌だらけになるのは時間の問題です。生ものは冷 蔵庫に、古いものは必ず火を通す、食物を扱うときには石けんで手を洗う、などは細菌を増殖させないための原則です。
 怪しいものは食べないようにしていても、お腹をこわしたら安静に、つまり食べるのを控えめに、水分補給だけしてください(イオン飲料がおすすめ)。下痢 は原因物質があるならなるだけ早く体外に排出させるための、吐き気・嘔吐はそれ以上食べないようにするための身体の防衛反応の一つでもあります。これらの 症状をすぐに止めてしまわなくてもいい場合があり、原因によって対策を立てましょう。吐き気、嘔吐があるのか? 熱は? 下痢の症状は、水様? どろど ろ? 血液は混じっていませんか? 症状の始まった時期と強さ、回数と量、色などいろいろな情報によって原因を考えます。感染性なら病原体に対する対応 を、個人的にあるいは社会的に対策を講じなければならないかも知れません。時には、癌や潰瘍など病気が隠されているかと考えなくてはなりません。もちろん お腹を冷やしただけかも知れません。
 ほらほら、そこで生ビール片手に宮っ子を見ているお父さん、お腹は大丈夫ですか?

「宮っ子」「与喜子の健康講座」より

 

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