2009.01.01

「人が大事」兵庫県民間病院協会会報2009年1月号

年頭所感「人が大事」

  あけましておめでとうございます。  歴史的な大不況の中、昨年年末には多くの労働者が解雇され路頭に迷う事態となりました。それほど簡単に大勢の人を解雇することができるなんて、これまで 労働力が有り余っていたに違いありません。羨ましい限りです。残った人たちに少ししわ寄せがくるだけで、仕事量を減らしてこの不況を乗り越えようというの です。

 一方医療現場では相変わらずの医師不足、看護師不足はいつまで続くやら、こっちからも悲鳴が聞こえてきます。不況だからといって仕事量を減らすわけには いきません。簡単に労働力を減らして収支を改善させようという方法は医療現場には適応しかねます。たった一人でも患者さんがいれば、医師一人、三交代で看 護師3人、薬剤師、栄養士、技師・・・・すべて有資格者が必要です。どこかで余った労働力を回して頂くわけにはいきません。病院は人でもっているのです。 手術だ処置だ検査だと、最新の機械をそろえたとしても、機械を使いこなすのは技術、またそれらの検査を選んで結果の判断をするのは人です。患者さんの不安 を取り除くのも人、時にはかえって不安を与えるのも人、コンピューターが導入され電子カルテになったとしても、それを使うのは人。画面を見せながらでも患 者さんに説明するのは人。その表情、言葉遣いのひとつひとつによって、患者さんに合わせて納得頂ける説明がされるのです。ベッドサイドでの一言一言、その 表情の一つ一つで患者さんを癒すこともできるのです。

 一般企業に比べて人件費比率が多いといわれる病院業界ですが、これほど人に頼っている世界ですから、そして、それほどに人が必要な、人が大事な業界で す。もっと人件費比率が高くても成り立って欲しいと思います。介護保険のプラス改定も人に使われるためのもののはずですが、一人一人に厚く以上に、増員に 繋がるほどのものではなさそうです。それにしても人がすることに対する評価があまりにも低い現状が、この不況の風でさらに悪化するものではないことを祈り ます。
 人が大事、今年も一人一人を大事に、みなで乗り越えていきたいと思います。

 

兵庫県民間病院協会会報 2009年1月号年頭所感より

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