2009.02.01

病院めぐり6 西宮市医師会会報 「談話室」2009年2月号

病院めぐり6

上ヶ原病院はすみずみまでに酸素と喜びを与える温かい血の通った医療を提供することを理念とし造血幹細胞から生まれる赤血球をロゴマークとしています。
 民間病院では珍しい血液疾患を得意とする内科病院です。名誉院長原宏を筆頭に、血液専門医2名とその他に化学療法、骨髄移植など経験豊富な血液内科医が 4名常勤。一般病床92のうち常に20~30の血液疾患の入院を抱えています。年間骨髄検査は約140、ここ5年間で、リンパ腫112、急性白血病 (MDS移行を含む)99、慢性白血病30、治療を要するMDS48、多発性骨髄腫40、再生不良性貧血9など。無菌、準無菌病室5室はこれらの化学療法 だけでなく、自己末梢血幹細胞移植のために稼働中です。
 その他の一般病床は消化器疾患、上部下部内規鏡精査あり、肺炎、脱水あり、脳血管障害の早期リハビリあり、癌のターミナルあり。在宅高齢者の褥瘡も褥瘡ラウンドで治療します。大規模病院では長期になりそうだと歓迎されない傾向の万こそ が、上ヶ原病院に入院して頂く方だと思っています。開業医の在宅高齢者、施設入所の方でも先生方のベッドのつもりでご相談下さい。これら病院の概要はこれまでの病院めぐりでも何度もご紹介しましたので今回はこのくらいにしておきます。もはや6回目の病院めぐりにあたり、今回はこれまでに一度もご紹介できていなかった部門をご紹介したいと思います。

 リハビリテーションはもっとも力の入っている分野の一つで す.脳血管障害でのリハビリにスタッフを充実させ施設申請はしていませんが、回復期リハビリテーションはもちろん、慢性期のリハビリも運動療法、作業療法 協力して丁寧に在宅へ向けての援助を行っています。言語聴覚療法士は失語症のリハビリだけでなく、嚥下訓練、摂食訓練を行い経管栄養からの立ち直りと誤嚥 性肺炎の予防に努めます。

禁煙外来
  2年半前から西宮市内では第1号の禁煙外来を始めました。病院スタッフの喫煙に苦労しながらも禁煙委員会を設置し敷地内全面禁煙を実行。禁煙学会認定指導 医、看護師を養成し、院内に怖い手作りのポスターを掲示し、かの薗潤西宮市保健所長も一押しして頂けるまでになりました。医師会会員様でもご用の際はお申 し出下さい。(要予約)

歯科・口腔外科
 平成8年新病院建設以来、小規模病院には珍しい歯科口腔外科を開設しています。第一の目的は、血液疾患をするためです。血液疾患の患者さんは口腔内の病 巣感染を合併していることが大変多く、初診時にまず歯科医に診察を依頼。本人は意識していなくともすでに複数の抜歯が必要といわれる方が少なくありませ ん。口腔内は細菌の宝庫。化学療法時に困難を極めます。化学療法と並行しての口腔内衛生管理と指導。血液所見の変動に合わせてタイミング良く口腔内治療を 行い、口腔からの敗血症をできうる限り防ぎます。「口は災いの元」にならないように。
 また、高齢者の多い病院であるため、義歯のトラブルや、療養病床、併設老健「陽喜な家」、ねたきりの患者さんの口腔衛生など、需要も多いものです。口腔 衛生からの誤嚥性肺炎予防は今や常識となっています。2名の常勤の衛生士がベッドサイドヘ出張します。
 近隣の外来患者さんも受診されますが、特に血液疾患で通院されている方の歯科治療は安心して受けて頂けます。残念ながら歯科医師は常勤でないため西宮市歯科医師会には所属していません。(要予約)

高気圧酸素治療装置
 特に力を入れているわけではありませんがダイビング時の減圧症にはなくてはならない高気圧酸素治療装置です。当初は脳梗塞急性期、心筋梗塞急性期などに 有効とされていましたがもっと確実な治療法があるため今では殆ど対象疾患ではなくなっています。麻痺性イレウス、糖尿病に伴う難治性潰瘍、CO中毒後遣症 などに細々と稼動していた当院ですが、県下で稼働している病院が減少し、末梢動脈閉塞症、突発性難聴、放射線潰瘍など他科医の依頼によって、最近再び注目 されてきています。学会認定高気圧酸素治療管理医師を擁し、高気圧酸素治療安全協会に加入している数少ない病院でもあります。
 内科だけですが、それでも一つの分野だけに特化できず、兵庫県保健医療計画においては何にもできない病院のようにみえるのに悔しい思いをしています。そ れでも地域の中で頑張っていらっしゃる医師会の先生方が、お困りの患者さん用にちょっと気軽に使えるベッドとして使って頂けることに使命を感じています。 (これが現場の地域医療支援病院だと思うのですが、地域医療支援病院の基準は高く、近隣ではやっと関西労災病院が第一号になるところです。)

西宮市医師会会報 「談話室」より

 

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