2009.06.01

「ご存知ですか薬のこと」宮っ子「いきいき健康」2009年5・6月号掲載

ご存知ですか薬のこと

 日本人は薬好きといわれ、日常的に多くの人が薬を使っていますが、最近ではその効果が鋭く、使用を誤ると危険な薬も少なくありません。薬と上手に付き合うためには自分の薬をよく知ることが大切です。

 薬は大きく分けると誰もが薬局などで買うことのできる市販薬と、医師の処方箋が必要な医療用薬があります。市販薬はかぜや食べ過ぎなどの軽い症状に対し て自分の判断で用いる薬です。医療用薬に比べて作用が穏やかで安全性の高いものが使用され、多くの人の共通の症状に対応できるよう、いくつかの成分が組み 合わされています。市販薬を購入する時は、例えば胃腸薬でも食べ過ぎた時には消化剤、胸やけには制酸剤、胃の痛みには鎮痙剤の入った薬が必要で、その時の症状に合った適切なものを薬剤師によくご相談下さい。それに対し医療用薬は医師が診断してその症状や体質に合わせ、適した薬を選び組み合わせて処方された 薬です。その為基本的には一つの薬には一成分しか入っていません。市販薬に比べ作用の強いものも多く、指示された事をよく守って使うことが大切です。

 医療用薬の中でも最近ジェネリック薬という言葉をよく聞くようになりました。このジェネリック薬について少し説明しておきます。薬は一般に製薬企業が新 薬を開発し特許権を取得すると、他の企業は製造販売することが出来ません。特許が切れると他の企業も販売することが出来、それがジェネリック薬と呼ばれる 薬です。新薬の開発には莫大な費用がかかるため価格が高く設定されます。また発売後にも新しい作用や副作用の出現に気を配らなくてはならず情報の収集や報 告義務も製薬企業に課せられます。が、ジェネリック薬はそういった費用が殆ど掛からないので安く設定されます。厚省労働省は医療費を抑えるため、このジェ ネリック薬の使用を推進しています。では新薬とジェネリック薬は本当に同一でしょうか。基本的に両者は主成分、含有量は同一です。しかし剤型や添加剤など は違うこともあり、人体に吸収されて作用を発現する課程に違いがあることも多々あります。軟膏などでは成分、含有量が同じでも軟膏基材が異なれば皮膚から の吸収が変わって治療効果に大きな差が出、必ず同一であるとは言えない一面もあります。テレビではジェネリック薬に替えると薬代が半額以下になるなどのコ マーシャルをしていますが、すべての薬品にジェネリック薬があるわけでなく、薬価も新薬と比べ余り変わらないケースもあり、薬代が安くなるかどうか処方に より大きく変わります。更に、ジェネリック薬の使用が増えると新薬を開発する製薬企業の収益が減り、次の新薬を開発することが出来なくなります。ドイツで はジェネリック薬の使用を強く推し進めたため、製薬企業が外国に逃げ出し、新薬の開発が大変少なくなりました。ジェネリック薬の使用推進は医療費を抑える かもしれませんが、将来の新薬開発を考えると問題があると言えるでしょう。

 最後に、薬の服用は時として思わぬ副作用を来たす場合があります。そのような事態を避けるため、薬を服用する際は、自分が飲む薬の名前、量、服用する時 間、薬の効果、副作用を十分把握し、指示された服用方法を必ず守って、薬の適正な使用を心掛けましょう。特に複数の医療機関から薬を処方されている方、そ れ以外に、市販薬も服用されている方は自分のお薬情報を処方する医師に隠さず告げ、ジェネリックも含めて一番適切な薬を選んでもらいましょう。

宮っ子「いきいき健康」より

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