1999.11.01

「貧血のかげには? 」宮っ子「与喜子の健康講座」1999年11月号掲載

貧血のかげには?

   日頃健康に自信のある方が職場の健康診断で異常が見つかると急に病気になった気がしたり、中には「これは何かの間違いだ。自分に異常があるはずがない」 と無視してしまう方もいるでしょう。職場健診に限らず、西宮市提供の「すこやか健診」、老人健診などほとんどの健診で必ず行われるのが貧血の検査ですが、 この検査は意外に重要な意味を持っていて、決して無視できるものではありません。
 貧血とは、赤血球またはヘモグロビン(血色素)という酸素を運ぶタンパク質の量が通常より少ないことをいい、顔色が悪い、走ったり階段を上ったりすると動悸がする、など具体的な症状がなくても血液検査に出てくることがあります。
 ここで大事なのは、貧血のかげにどんな病気が隠れているか、です。まず、どこかに出血がないかを探します。目に見えない出血のせいで貧血になっている時 よく見つかるのが、胃・大腸での潰瘍やガン。また痔の出血だからと甘く見ていたら奥の方にガンが見つかることもまれではありません。女性の場合、子宮筋腫 や内膜症など婦人科の病気が原因であることが多く、これも要チェックです。
 出血以外では腎臓や肝臓の病気、また血液を造る骨髄そのものが病気である場合や、さらにリウマチや自己免疫性の病気も原因として考えられ、時には生命に 関わる難病が隠れていることもあります。まれなことですが長期にわたって飲み続けている薬が原因となることもありますし、手術で胃を取ってしまった方に、 十年も二十年もたってから貧血が出てくることもあります。
 原因がわかればその治療を行います。原因を探さずに貧血の薬を飲んでしまうと大きな病気を見逃すことにもなりかねません。貧血のタイプである程度見当は つきますが、他の検査結果と照らし合わせて主治医の先生と相談しながら原因探しを進めましょう。献血できるような健康な血液を持っていたいですから……。
 第2回目にあたり、私の生涯のテーマである血液のお話をとりあげました。

「宮っ子」「与喜子の健康講座」より

 

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