2017.01.01

「在宅医療の推進のために」      西宮市医師会会報 《談話室》 2017年1月号

 在宅医療が推し進められて数年になるでしょうか。猛然と在宅医療に燃えている先生。仕方なしに在宅医療に関わっている先生。もっと在宅患者さんがあってもいいのに、と手をこまねいていらっしゃる先生。在宅医療に関心はあるけれど、なかなか踏み込めないでいる先生。絶対在宅医療はしませんという先生以外は、どなたでも参加していただける在宅医部会が立ち上がって4年目になります。在宅医の連携を、医師会中心でやっていきたいという思いがあり在宅医同士の交流と在宅医療資源の掘り起こしなどを目的に立ち上げた会でした。

 はじめは在宅医療と往診の違い、どのような保険点数が相当するのか、などの勉強会を中心に開催されました。在宅医療総合診療料、在宅療養支援診療所、在宅医療支援病院など、それぞれの施設基準が規定され、どの位置で活動するかなど悩まれた先生方も少なくなかったかと思います。在宅で成しうる医療にも、対象となる患者さんの症状も原疾患も様々で、また色々な合併症を併発することもあり、検査や観察の機器も限られた中での医療に限界があるのは事実です。また24時間対応は一医療機関だけでは不可能です。医師会に所属する様々な医療機関が連携し、在宅医療のレベルを高めていくことが重要です。そうして医師が中心となった在宅連携が構築されると考えています。ケアマネジャー、訪問看護師、リハビリ、歯科医師、薬剤師 など多職種の連携のもとに、地域包括ケアシステムが出来上がります。

 医師会の役割は、会員医師の在宅資源の把握と必要に応じての地域ごとへの提案です。在宅療養相談支援センター(人口10万に1センターとして、西宮市に5箇所提案された県、市の施策による相談窓口)にも対応できるよう、先般、全会員にご回答いただいた在宅医療資源を基盤に西宮市医師会の在宅医療対応力を活用できるよう計画中です。これまで地域連携委員会のアンケートをもとに会員専用ホームページからのみ閲覧可能であったのですが、もっと広く活用できるようにいたしました。西宮市内の病院についてまでは個々に把握されていることが多いのですが、他市他府県の病院の退院時にまたはケアマネからの照会に応じることができるようになります。直接患者さんからの問い合わせは受けることのないよう規定はあります。少数医療機関にのみ集中してしまいがちな現状をもっと広く多くの会員に関わっていただきたいと考えています。

 始まりは医療費削減の目的で、推し進められてきた在宅医療ですが、人生の最後まで住み慣れた家で過ごしたいという欲求を国民に植え付け、入院することが悪いことのように思わせられているようにも感じます。それにしても、多死の時代を迎える今、在宅医療は欠かせません。地域医療構想の中にも病院の病床から在宅医療への移行が仕組まれています。在宅医療の中心は何といっても開業医。今月月末に予定されている在宅医療部会。部会に入っているいないに関わらず、 ご参集ください。もっと突っ込んだお話が聞けると思います。

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